建設業

建設業許可の要件その3・4~誠実性と財産的基礎~

建設業許可の5つの要件

建設業の許可を取得する為には、下記の5つの要件をクリアする必要があります。

  1. 経営能力
  2. 業種ごとの技術力
  3. 誠実性
  4. 財産的基礎
  5. 欠格要件に該当しないこと

今回は、5つの要件の内、3.誠実性と4.財産的基礎ついて解説していきます。
1、2及び5については、下記の記事をご参照下さい。

建設業許可の要件その1~経営能力と管理責任者~
建設業許可の要件その2~専任技術者の配置~
建設業許可の要件その4~失格要件~

3.誠実性

請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。
これは、許可の対象となる法人若しくは個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様にです。

不正又は不誠実な行為とは?

▼不正な行為
請負契約の締結又は履行に際して、法律に違反する行為のこと。
詐欺、脅迫、横領、文書偽造詐欺を行うこと。

▼不誠実な行為
請負契約に違反する行為のこと。
工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について契約違反の行為のこと。

▼その他
建設業関連の「建築士法」や「宅地建物取引業法」など、ほかの法律の定めにより、不正または不誠実な行為を行ったことで、免許などの取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない場合は誠実性を満たしていないとみなされます。

4.財産的基礎

建設業許可を受けるためには一定以上の資産を有していることが要件とされていて、これを財産的基礎といいます。一般建設業と特定建設業とで要件が異なります。
▼一般建設業
次のいずれかに該当すること。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
▼特定建設業
次のすべてに該当すること。
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること
特定建設業の許可を受けようとする場合は、この財産的基礎等の要件を一般建設業よりも加重しています。これは、特定建設業者は多くの下請負人を使用して工事を施工することが一般的であること、特に健全な経営が要請されること、また、発注者から請負代金の支払いを受けていない場合であっても下請負人には工事の目的物の引渡しの申し出がなされてから50日以内に下請代金を支払う義務が課せられていること等の理由からです。

まとめ

誠実性は、建設業の営業は注文生産であるためその取引の開始から終了までに長い期日を要すること、前払などによる金銭の授受が慣習化していること等により、いわば信用を前提として行われるものであり、請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするような者に営業を認めることはできないことから課せられています。

財産的基礎は、建設業の営業を行うには、資材の購入、労働者の募集、機械器具又は仮設機材の購入等工事の着工のためにかなりの準備資金を必要とするところ、適切な営業活動を行い、建設工事の適正な施工を確保するためには、営業に当たってある程度の資金を確保していることが必要との観点から課せられています。

ABOUT ME
ちゅー吉
地方中小企業で働くアラサー会社員。 現在は建設会社で事務員として働いてます。